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資金繰り 前編

2019/07/26
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資金繰り 前編


 会社経営をする上で、経営者は資金繰りについて深く考えることが大切になります。

 資金繰りとは、お金の流れを表しており、会社運営において欠かせないものになります。

 そのため、資金繰りが上手くいかなくなると会社は倒産してしまいます。

 つまり、会社を倒産させないためにも、経営者は資金繰りについて考え、会社からお金が無くなら
 ないようにしなければいけません。

 そして、資金繰りで失敗する経営者にはいくつかのパターンがあります。

 特に、収支と利益を区別できていなかったり、実際の借入金返済能力について理解していない、
 資金調達によって一時的に赤字を解消しているというパターンに当てはまる経営者は、資金繰りで
 失敗しやすい傾向にあるそうです。

 そこで今日は、資金繰りに失敗する経営者のパターンについて説明します。


収支と利益を区別できていないケース

 
 資金繰りを考える上で、収支と利益の違いを理解しておくことはとても重要になります。

 経営者の中には、収支と利益を区別できていないため、いつの間にか資金繰りが苦しくなっている場合が
 少なくありません。
 

◎収支

 収支とは、お金の出入り状況を表すものです。

 会社にお金が入ればそれは収入となり、会社からお金が出ていった場合は支出になります。

 そして、収入から支出を差し引いたものが収支になります。

 例えば、お客様に物を売るとします。

 実際に、お客様に物を販売して代金として5,000円を受け取れば5,000円の収入です。

 お客様に販売する仕入れ費用として1,000円かかったのであれば、1,000円の支出となります。

 そうなると、収支は5.000円 -1.000円 = 4.000円ということです。

 このように、実際にお金が出入りしたときの状況を表しているのが収支になります。

 
◎利益

 それに対して利益とは、実際にお金が出入りしたかに関わらず、売上が発生したかどうかを表すものです。

 例えば、先ほどの例であれば、5,000円であっても、支払い方法がクレジットカードによるものであれば、
 そのときには収入にはなりません。

 ただ、売上自体は発生しているため、利益としては5,000円が計上されるのです。

 このように、会社にお金が入ったかどうかではなく、売上が発生した時点で、その売上から仕入れを引いた
 ものが利益になります。

 
利益が出ているのに資金繰りが苦しくなる

 
 会社の売上を利益だけで考えていると利益が出ているのにお金が無くなるといった場合があります。

 ここでは、わかりやすいように例で説明します。

 例えば、月の売上が500.000円であり、テナント代やその他の経費などが300,000円だったとします。

 そうなると、お店の利益は500.000円 - 300.000円 = 200.000円となります。

  つまり、200,000円のプラスになるのです。

 ただ、この売上の半分がクレジットカード払いであると、その月は売上が500,000円であるにも関わらず、
 実際にお店に入るお金は250,000円になります。

 そのため、収支は250,000円 - 300,000円 = -50,000円と、マイナスになってしまいます。

 こうなってしまうと、利益はプラスであるにも関わらず収支はマイナスとなってしまい、お店はお金が
 足りなくなってしまいます。

 つまり、利益が出ているのにもかかわらず、資金繰りが苦しくなってしまうのです。

 もちろん実際には、これまで貯めていた資金や前月の売上などがあれば、会社がすぐに倒産することは
 ありません。

 ただ、このように利益だけで会社の状態を把握することは非常に危険なことになるのです。

 資金繰りに失敗する経営者の中には、こうした利益と収支の違いを理解せずに、利益ばかりに着目して
 しまう人が多く存在しています。

 そしてその結果、資金繰りに悩まされている人が少なくないのです。

 
実際の借入金返済能力を理解していない

 
 経営者の中には、無借金経営を目指している人も多くいると思います。

 つまり、借りたお金の返済を続けていつかは全額を返済し借金経営を終わりにしたいと考えているのです。

 確かに、無借金経営は悪いことではありません。

 ただ、資金繰りについて理解していない経営者ほど、実際の借入金返済能力について何もわかっていない
 にも関わらず、無借金経営を目指している人が多いのです。

 
◎キャッシュフロー

 会社を経営していく上で、銀行などの金融機関に融資してもらうことは欠かせません。

 設備投資資金や運転資金などを、全くの融資なしで自ら用意することはなかなか難しいことです。

 金融機関が会社に対して融資を行うかどうかを決める大きな要因の一つに返済能力が挙げられます。

 お金を貸す立場にある金融機関の融資担当者は、返済能力がない会社に融資をすることは絶対にありえません。

 そして、金融機関が会社の返済能力を判断するための指標がキャッシュフローになります。

 キャッシュフローとは、簡単に言うと会社における現金の流れのことをいいます。

 つまり、会社にある現金がどれだけ増減しているかを示すものです。

 実際に金融機関が会社の返済能力を測る際に、利益 + 減価償却費 = キャッシュフロー 
 という式を使って計算します。

 減価償却費とは、時間が経つに連れて価値が下がっていく固定資産の費用として計算されるものになります。

 例えば、会社で500万円の車を購入した場合、購入にかかった500万円全額を一度に経費として計上することが
 できません。

 実際には、車の耐用年数に応じて分割されて、費用として計算されていきます。

 そのため、減価償却費として計上される分は、利益としてはマイナスになりますが、収支には影響しません。

 500万円はすでに支払っているため、実際にはお金が減らないためです。

 ただ、利益としてはマイナスとして計上されているため、実際のお金の流れを示すキャッシュフローでは、
 利益からマイナスとされていた減価償却費分をプラスしなければいけません。

 こうした理由から、キャッシュフローを計算するときには、利益に減価償却費をプラスします。

 
無借金経営をするためにはキャッシュフローを考える

 
 融資の際に金融機関は、キャッシュフローによって会社の返済能力を審査します。

 例えば、会社の当期利益が300万円で減価償却費が500万円であった場合には、その会社のキャッシュフローは
 300万円(利益) + 500万円(減価償却費) = 800万円 になります。

 そして、銀行はこの会社が1年間で返済できる額は800万円だと判断します。

 逆に会社側からすると、融資額が800万円であれば1年間で返済できて無借金経営になるということになります。

 つまり、無借金経営をするためには、こうしたキャッシュフローを計算した上で、返済額に見合った利益を
 上げなければいけないのです。

 
キャッシュフローだけでは資金繰りに苦しむ


 ただ、基本的にはキャッシュフロー通りに返済できる会社は少ないのが現状です。

 実際には、キャッシュフロー以上の融資を受けて、不足分はさらに他金融機関から資金調達して資金繰りを
 行っています。

 金融機関も、このことを理解しているために、キャッシュフロー以上のお金を融資します。

 さらにキャッシュフロー内の返済金額であっても資金繰りに困る会社はたくさんあるのです。

 融資時には借入返済可能額としてキャッシュフローが使われます。

 そして、キャッシュフローの計算では、減価償却費がプラスされますので、確かに、減価償却費は既に支払い
 済みのものであるため、実際のお金が出ていくことはありません。

 しかし、減価償却費として計上している固定資産などで、修理が必要なった場合は、追加で大きなお金が必要に
 なる可能性があります。

 また、減価償却として計上した物品には、新たに買い直さなければいけないようなケースもあるのです。

 こうした際に、修理費や新しく購入するための設備費は、会計上は減価償却費として数年間繰り越すことが
 できます。

 ただ、実際の支払いはすぐに求められてしまいます。

 その結果、キャッシュフロー内で借入したにも関わらず、資金繰りに苦しむことになります。

 以上の理由から、たとえキャッシュフロー内の借入額であっても、突然の設備投資などに対応できるほどの
 現金を保持していない場合などには、すぐに資金繰りに苦しむことになるのです。

 このように、実際の借入金返済能力を理解できずに資金繰りに苦しむ経営者は実際多くいます。