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増資とは?株価に与える影響とは?

2020/03/19
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増資とは?株価に与える影響とは?

 

 

増資とは、企業が新規に株を発行して、お金を集めることです。

 

これは株主にとって好材料になるものなのでしょうか?それを知るためにまずは増資の本質を理解しておきましょう。

 

 

企業はお金を集めて設備などに投じ、社会に役立つサービスを人々に提供しています。その対価として売上を得ます。その売上から、サービスを提供するのに必要な人件費などの費用をまかないます。そのサイクルが繰り返されているのです。

 

企業はサービスの質を高め、より多くの人の生活を豊かにする使命があります。サービスの質を高めるには、研究開発や設備投資などが不可欠です。そのためにお金を集めなければなりません。

 

資金調達には大きく2つの種類があります。

 

 

①デットファイナンス:債権の発行、金融機関からの借り入れなど

 

②エクイティファイナンス:株式の発行

 

 

この2つの大きな違いは、集めたお金を償還(返却)する必要があるかないかです。デットファイナンスは、決められた償還期間までに”借りたお金”と”金利”のすべてを支払います。

 

一方、エクイティファイナンスは、集めたお金を返す必要がなく、必要に応じて配当金を払います。増資は、このエクイティファイナンスに含まれます。

 

 

❶増資の種類を知ろう!

 

増資には3つの種類があります。

 

 

①公募増資

 

②第三者割当増資

 

③株主割当増資

 

 

1つ目の「公募増資」は、新しく株主を募ることを指します。不特定多数の投資家に対して呼びかけて、買い手を探します。

 

2つ目の「第三者割当増資」は、特定の企業に株を買ってもらうことです。ベンチャー企業がベンチャーキャピタル(※)からお金を集める際に、よく使われる手法です。他に、取引先や役員などに株を発行することもあります。

 

3つ目の「株主割当増資」は、既存の株主に買ってもらうことを指します。このパターンだと、株主構成は変わらないことになります。

 

(※)未上場のベンチャー企業に出資をして株式を取得する、投資会社や投資ファンドのこと。上場時に売却することで、大きな値上がり益を狙う。

 

 

❷増資をすると、株価にどう影響する?

 

冒頭で説明したとおり、集めたお金を償還(返却)する必要がないという企業にとってはメリットの高い資金調達手段です。株主にとっても、投資した企業のサービスが拡大して売上が上がり、配当が増えるのだからメリットが高いように思えます。

 

しかし、そう簡単な話ではありません。増資をすると、株式が”希薄化”して株価が下がりやすいからです。希薄化とは市場に出回る株式の数が増えることです。「PER(株価収益率)」という割安度を測る指標を使ってA社の例を見ていきます。

 

 

・PERとは?

 

株価収益率のこと。

 

どれだけの利益を得ることができるか表しています。株価の割安性を測ることができ、数値が低ければ低いほど株価が割安であると言えます。PER=時価総額÷純利益で計算できます。

 

 

A社は、発行済み株式数が1,000万株、株価が1,000円です。純利益は10億円でした。すると、PER=(1,000万株×1,000円)÷10億円=10倍となります。

 

PERは業種にもよりますが、12~15倍くらいが適正値と言われています。A社の株は、比較的割安と言えそうです。A社は海外展開をするためのお金が必要になり、公募増資をおこないました。1,000万株を新しく発行し、市場から100億円を集めました。

 

【A社の増資前と増資後のPERの変化】

 

 

     発行済株式数 株価    時価総額  純利益  PER

 

増資前 1,000万株   1,000円  100億円   10億円  10倍

 

 

増資後 2,000万株   1,000円  200億円   10億円  20倍

 

 

PERに注目してください。増資後のPERが20倍に変化しています。増資によりA社のPERは、適正値といわれる15倍を超えて、割高の水準になったのです。

 

すなわち、株式の価値が下がったのです。多くの投資家は増資が株式の価値を下げることを知っています。ですので、増資前に売ろうとします。そのため株価は下がりやすいのです。

 

仮に投資家が「増資前のPER(10倍)が適正値」だと考えており、それにあわせて株価が下がったと仮定しましょう。

 

 

     発行済株式数 株価    時価総額  純利益  PER

 

増資前 1,000万株   1,000円  100億円   10億円  10倍

 

 

増資後 2,000万株   500円   200億円   10億円  10倍

 

 

株価は半額になります。これが希薄化による株式価値の低下です。

 

 

❸実際の増資で株価がどう動いたか見てみよう

 

実際の増資で、株価がどのように動いたか見てみましょう。

 

まず、2018年12月5日公募増資をすると発表したマネーフォワードを例にとります。この会社は、会計管理ツールの提供などを行っています。サービス拡大に必要な営業・マーケティング費用と開発費に資金を投じるため、250万株の新規株式の発行を決めました。

 

調達総額は最大で90億円となります。公募増資による希薄化は「12.9%」でした。

 

増資の発表があった12月5日 の終値は4,190円でした。そこから続落していき、新規株式の発行価格は2,946円でした。株価はそれを超えて下がっています。既存の株主が増資を嫌っているのがわかります。

 

 

❹増資はネガティブな材料だけじゃない

 

もう一社の例を見てみましょう。

 

増資が悪材料ばかりではないことがわかります。増資は企業が拡大するために、お金を集める手段でした。株式は希薄化しますが、それを見越した上で、「会社が成長する」と投資家が判断した場合、好材料となります。

 

阪急阪神リート投資法人は、2018年11月8日に公募増資をすると発表しました。この会社は、イオンやニトリなどの商業ビル、ホテル、オフィスビルなどを開発、所有して利益を得ています。

 

増資により、大阪のグランフロントという2つのビルを所有して、さらなる収益を上げようとしました。2,700株を発行し、74億円のお金を集めました。公募増資による希薄化は「8.9%」です。

 

株価の推移を見てみると、増資の発表があった、11月8日の株価は143,600円でした。翌日は142,000円まで売り込まれたものの、その後株価が上がっていき12日には146,000円の高値をつけました。

 

ビルを所有することで、売上・利益が上がる可能性が高いです。しかも、ビルを所有するのにたいした時間はかかりません。投資家は目先の業績が良くなるだろうと判断して株を買ったと考えられます。

 

増資は企業が何をしたいのかによって、好材料にも悪材料にもなりえるのです。

 

 

❺増資は企業が成長するガソリンと同じ

 

増資は、集めたお金を償還(返却)する必要がないため、企業にとって魅力的な資金調達方法です。しかし、やりすぎや不十分な説明で増資をおこなえば、既存株主の反発をかって株価は下がります。増資によって企業が何をしたいのかしっかりと見極めた上で投資をしましょう。